書評
―柳澤 健(編)―「運動療法学」
中屋 久長
1
1高知リハビリテーション学院
pp.930
発行日 2006年11月15日
Published Date 2006/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102566
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理学療法に関する図書が溢れるばかり出版されている昨今である.一昔には臨床現場の理学療法士や養成校では,関係図書を探索選定するのに苦労し,結局は医師向けの医学書を参考にしてきた経緯がある.理学療法士の養成が大学,大学院教育で行われるようになり,理学療法士自体の学術的なレベルアップがなされたこと,さらに養成教育機関の急増がその需要を高め,出版社にとって市場に耐えうる存在となってきたことが多くの専門書が出版されている要因であろう.
飛びつきやすいハウツウ,ノウハウ本が目立つが,このたび理学療法の中核をなす運動療法を幅広い視点から解説,網羅した「運動療法学」が発刊されたことは,関係者にとって待望のことと思われる.編者の序文にあるように,厚労省が7年前に改正した「国家試験出題基準」に沿った内容で構成されていることが特徴であるとともに,保健・福祉領域に関する理学療法(運動療法)についても取り上げられている.養成校での教育は,国家試験対策や臨床現場のニーズから,ともすると医療に偏ってしまう傾向にあるが,保健・福祉分野は今後の理学療法業務,職域の拡大から必要な領域である.
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