書評
―月城慶一,他(訳)―「観察による歩行分析」
石井 美和子
1
1フィジオセンター
pp.617
発行日 2006年8月15日
Published Date 2006/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102553
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本書の著者であるNeumann氏は,これまでに日本で計7回,「観察による歩行分析」をテーマにセミナーを開催している.私はそのうち2回ほど参加したが,セミナーは系統立ててまとめられ,非常にわかりやすく,興味深い内容であった.それと同時に,受講者側が終始講師であるNeumann氏の気迫に少々押され気味になるほど情熱的にセミナーが進められたことも印象的であった.本書は,同氏がセミナーで熱く語った「観察による歩行分析」への思いが丸々詰まっている.
第1章は直立歩行の歴史が記載され,ヒトがどのような過程を経て現在の歩容に至ったかを知ることで,歩行機能の必要性・必然性を考えるところから始まっている.第2章は歩行に関する基礎的事項の確認と歩行の解釈について,本書に推薦の言葉を寄せているPerry博士を中心としたメンバーが築いた「ランチョ・ロス・アミーゴ分析法」をもとに述べられている.第3章では,観察による歩行分析を遂行するにあたってのポイントが記述されている.歩行分析を実施する際の手がかりのみでなく,システマティックに分析し解釈を統合するために重要と筆者が判断したクリニカルテストの他,歩行分析シートの利用方法も記載されている.第4章で計測機器を用いた歩行分析の概要が述べられ,第5章がいよいよ本書の主要部分「病的歩行―逸脱運動の原因と影響」である.
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