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昨日は節分.家族の健康と幸福を願って多くの家庭で豆まきが行われたことでしょう.しかし,ここ数年来の児童虐待件数の増加を憂慮していましたが,先般の大阪府下での中学生餓死状態の報道には衝撃を受けました.「児童は人として尊ばれ,社会の一員として重んぜられ,良い環境の中で育てられる」という児童憲章の精神をいま一度かみしめる必要があります.次の時代を担う子どもたちの生活環境,教育環境が「これでいいのか」と,高齢者,障害児・者のimpairment,activity,participationを支援する理学療法界が,物申す姿勢をもつことが重要です.その行動が,人に優しい高齢社会を創る第一歩になると考えます.まさに濱岡氏が「とびら」で述べられているように,当たり前の行動のできる人,社会であってほしいものです.
さて今月号の特集は「物理療法の鎮痛作用」です.物理療法に関する新しい動向としては,ハード面の機器開発に伴う鎮痛作用の追究と物理療法機器の法制化です.鎮痛作用を検証するには客観性,再現性を踏まえた疼痛評価,分析法が基本となりますが,昨秋の第11回日本物理療法学会では疼痛に関する基礎,臨床研究の一般演題20題,EBMと物理療法に関する特別講演など,理学療法士による研究が着実に積み重ねられている状況を拝聴し,物理療法は「我々の手で」という熱いものを感じました.EMC(electro magnetic compatibility:電磁両立性)の法制化とは,電磁波などを発生する物理療法機器を対象に2007年を目途に世界的な規格化が実施され,規格外の機器の生産販売が禁止されます.このため現有の機器使用まで影響を受ける可能性があり,理学療法界はEMCの動向を把握した対応を早急に取り組む必要性を感じます.
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