特集 心疾患に対する理学療法の新たな展開
心血管疾患のリハビリテーションの最新ガイドラインを読み解く
野原 隆司
1
Ryuji Nohara
1
1公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院心臓センター
pp.775-780
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102392
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改訂ガイドラインの役割と今回の改訂のポイント
2006年に,日本循環器学会でそれまで運用されてきた「心疾患における運動療法に関するガイドライン」(齋藤宗靖班長)の改訂版として,研究班報告を上梓した.運動療法は心血管疾患のリハビリテーションの一部であり,包括的治療において重要な位置を占めることを踏まえ,タイトルも「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2007年改訂版)」と改称した.それから5年が経過し,現在改訂作業を行っているが,作業は滞りなく進み,2012年秋に報告する予定である.多くの班員はそのまま残っていただいたが,長老については年齢制限もあり,外部評価委員となっていただいた.
さて,前回の改訂から5年が経過したとはいえ,その後日本における心血管疾患のリハビリテーションのエビデンスが十分整ったとはとてもいえない.2000年以降,侵襲的治療,薬剤処方は多くのエビデンスを踏まえ,予後,QOL(quality of life)の改善に寄与している.それに比して,心血管疾患のハビリテーションは,診療報酬の改定が進んだとはいえ決して十分なものではない.包括医療が最終的には“ローコスト,ローリスク,ハイリターン”であることを強調しているにもかかわらず,エビデンスの集積が進まないことも含め,大きく前進したとはいいがたい状況にある.
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