書評
―庄本康治(編)―「最新物理療法の臨床適応」
鈴木 重行
1
1名古屋大学大学院医学系研究科
pp.737
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102377
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この度,庄本康治先生の編集による『最新物理療法の臨床適応』が文光堂より出版された.本書出版のきっかけは,ご自身が序文で記載しているごとく,本邦における物理療法に関する書籍が教科書,国家試験レベルのものしかなく,臨床家が実際に物理療法を臨床適応するのに参考となる書籍がほとんどないことに日ごろより苦慮されていたことが大きく関係していると想像できる.本書は,主に臨床現場に勤務する理学療法士を対象とした内容となっており,物理療法の中でも,電気療法,超音波療法,レーザー療法に焦点を当て,筋力低下,弛緩性肩関節亜脱臼,脱神経筋,摂食・嚥下障害,痙縮,痛み,創傷,石灰沈着性腱板炎,手根管症候群,関節可動域制限など,日ごろ臨床によく遭遇する病態を対象としている.
本書の特徴の1つは,各病態に対する物理療法の効果について,基礎および臨床研究から非常に多くの論文を引用してエビデンスを提示するとともに,これらの研究成果をベースとした各病態に対する最新の治療理論,臨床的適応技術について網羅していることである.このことは執筆された先生方が物理療法を専門分野の1つとして日ごろより研鑽されている成果であり,読者の先生方にとっては臨床上有益な情報が満載されていると言える.
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