特集 物理療法の再興
物理療法の臨床適応の課題と方略
高岡 克宜
1
,
鶯 春夫
2
,
田野 聡
1
Katsuki Takaoka
1
1橋本病院リハビリテーション部
2徳島文理大学保健福祉学部理学療法学科
pp.669-675
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106367
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臨床における物理療法の現況と位置付け
物理療法は,運動療法,日常生活活動指導,義肢装具療法などとともに理学療法の根幹をなす治療法であることは言うまでもない.臨床においても運動療法と同じく臨床推論を基盤として,患者を評価し病態仮説を立て種々の物理療法機器を選択し,患者治療に活かされるべきである.
しかし臨床においては,われわれ理学療法士が物理療法を十分活用できているかどうか疑問を感じる場面が多くみられる.山本ら1)は,物理療法は運動療法に対する補助的手段であり,施行は助手任せ,学生の臨床実習ではほとんどの治療体験なしと,理学療法士の物理療法軽視ともとれる状況を指摘している.また,庄本2)の日本理学療法学術大会における物理療法に関する発表等の調査によると,2005年では物理療法関係に関する発表は基礎,臨床研究を含めて41演題(3.3%),2006年では40演題(3.4%),2007年では44演題(3.2%),2008年では50演題(2.9%),2009年では44演題(2.4%),2010年では46演題(3.0%)であり,学術論文においては,日本理学療法士協会の機関誌である『理学療法学』では,2005年は0論文,2006年は2論文(5.6%),2007年は3論文(11.5%),2008年は0論文,2009年は1論文(2.9%)であったと報告している.これらの結果は,本来理学療法士が用いることができる貴重な治療手段である物理療法の積極的な使用がなされていない現況を示していると思われる.
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