ひろば
痛みの緩和に介入する際の理学療法士の感性
堀 寛史
1
Hirofumi Hori
1
1藍野大学医療保健学部理学療法学科
pp.729
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102375
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日本語の成り立ちは,基本的に「音」から始まっており,その「音」に外来語である漢語を当てはめて文字にしてきたと言われている.平安時代には平仮名は用いられていたのだが,紀貫之の『土佐日記』(10世紀半ば)では,作者が女性に扮して平仮名を用いているように,教養としての文字は漢語であった.平安の世は多様な文化が開花した時代であったようで,後世に残る文献が数多く存在する.
日本語では話し言葉としての「音」が先にあり,文字を後につけたのは現代のスラングでも同様であり,言葉の意味が先にあったわけではなかったようである.つまり,言葉はそれらが用いられる過程で定義めいた統一的な意味がじわじわと付与されていくのである.よって,同じ音から派生しているにもかかわらず,意味が異なるものが多々みられる.その代表例として,私たち理学療法士にとって常に難題となる音としての「いたみ」について考えてみたい.その言葉の意味としては痛み,傷み,悼みの3つがある.
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