Japanese
English
報告
鵞足炎におけるトリガー筋の鑑別検査
Differential test of the trigger's muscles for pes anserinus tendonitis in osteoarthritis of the knee.
赤羽根 良和
1
,
林 典雄
2
Yoshikazu Akabane
1
1さとう整形外科
2中部学院大学リハビリテーション学部理学療法学科
キーワード:
鵞足炎
,
トリガー筋鑑別検査
,
変形性膝関節症
Keyword:
鵞足炎
,
トリガー筋鑑別検査
,
変形性膝関節症
pp.175-179
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102203
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要旨:鵞足炎は臨床上多く認める疾患のひとつであるが,特異的な鑑別検査はほとんど報告されていない.これらを踏まえてわれわれは,鵞足炎の中でも,トリガーとなる筋の鑑別検査について,独自で考案した方法を臨床で用いて実施している.本研究の目的は,鵞足炎の抽出とトリガーとなる各筋の割合について明らかにすることである.
対象は,片側の変形性膝関節症と診断され,歩行時や階段昇降時に脛骨近位内側縁の鵞足部に疼痛を認め,膝関節内側裂隙から約5cm遠位の鵞足部に圧痛を有する鵞足炎50例50膝(男性9例,女性41例,平均年齢66.3±5.2歳)である.
トリガー筋鑑別検査は,縫工筋・薄筋・半腱様筋にそれぞれ選択的に伸張ストレスを加えた.各筋の検査において,鵞足部に疼痛が認められた場合を陽性と判断し,トリガー筋の割合について検討した.トリガー筋鑑別検査が陽性だったのは50膝中46膝(92.0%)であった.また,4膝(8.0%)は陰性であった.トリガー筋鑑別検査の中で最も多く同定されたのは薄筋単独であり,50膝中34膝(68.0%)に認められ,鵞足炎の中で最も着目すべき筋と考えられた.縫工筋単独は,50膝中4膝(8.0%)と少ない一方で,縫工筋と薄筋の合併では50膝中8膝(16.0%)であり,単独よりも多く認めた.半腱様筋は0膝(0.0%)であり,今回の検討からは同定されず,トリガー筋とはなりにくいと考えられた.
われわれのトリガー筋鑑別検査は,鵞足炎の中のトリガー筋を同定する一手段として,有効と考えられる.
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