特集 股関節疾患の理学療法―update
低侵襲人工股関節置換術後の理学療法効果
高木 三憲
1,2
,
池田 崇
1,2
,
鈴木 浩次
1
,
正保 哲
1
,
高木 峰子
3
Mitsunori Takagi
1,2
1湘南鎌倉人工関節センター
2湘南鎌倉総合病院
3神奈川県立保健福祉大学
pp.1041-1048
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101812
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はじめに
近年,日本は世界でも類をみない超高齢社会に突入しつつあり,国民医療費の増加による社会保障費財政の破綻が懸念されている.今日の国政の中でも優先課題とされ,医療費削減の一環として早期退院が求められている.また,昨今の医療進歩は著しく,これらを背景に日本でも早期退院・在院日数の短縮が進んでいる.ほんの数年前まで2~3か月も必要であった人工股関節全置換術(THA)の入院期間は,現在では1か月程度となった.術式によっては1~2週間程度で自宅退院となるものもみられる.
この在院日数の短縮の中で,われわれ理学療法士はどこまで患者満足度やquality of life(QOL)を高められるだろうか.在院日数短縮については各施設や各セラピストにより是非もあろうが,当院では低侵襲人工股関節置換術(MIS-THA)を行っており,現在の術後在院日数は5~7日程度である.在院日数が短縮されたとしてもそこで理学療法が終了するわけではなく,患者の自己管理,理学療法士による定期的,継続的な評価・指導が重要であり,長期予後の改善につながると考えている.
この短い在院日数での早期退院を実現している当院での取り組みや,その中での理学療法士の役割を本稿では1例として挙げさせていただく.当院での診療,手術,術後のスケジュールおよび全体の流れを図1に示す.
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