特集 股関節疾患の理学療法―update
人工股関節再置換術後の理学療法効果
小澤 明人
1
,
松島 哲弥
1
,
佐野 久実
1
,
餅越 竜也
1
,
大西 啓靖
2,3
,
大西 宏之
2,3
Akito Ozawa
1
1医療法人寿会富永病院リハビリテーション科
2医療法人寿会富永病院整形外科
3大西啓靖記念人工関節研究センター
pp.1049-1055
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101813
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はじめに
「もう一度痛みなくきれいに歩けるようになりたい」.股関節疾患を有する方々の共通する願いである.そのような加齢に伴う股関節疾患に対しては,人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)を施行される症例数が増加し,在宅や職業への復帰に向けた様々な取り組みがなされている.
THA後,多くの症例は長年悩まされ続けた疼痛から解放され,充実した日常生活を送ることができるようになるが,様々な原因により,人工股関節再置換術(以下,再置換術)を余儀なくされる症例も存在する.その症例数は決して多くはないが,再置換術に伴う障害特性を考慮した,詳細な評価と日常生活動作(activities of daily living:ADL)指導を含む理学療法が必要となる.また,症例個々の生活環境や生活背景を考慮した指導や援助に加え,心理的な支援なども重要であり,生活の質(quality of life:QOL)を高めることができる個別性の高い対応が求められる.
そこで本稿では,再置換術後のプログラムのあり方について再考することを目的として,まず本疾患の障害特性を整理する.そして,障害特性それぞれに対応する理学療法やADL指導などについて記述し,最後にその効果および今後の課題などについて紹介する.なお,クリニカルパスに準じた理学療法を展開できる,二次的な問題点の少ないケースについては簡略な紹介にとどめる.
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