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編集後記
高橋 正明
pp.942
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101790
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暑い夏であった.わが国では最高気温が25℃以上の日を夏日,30℃以上を真夏日,35℃以上を猛暑日と定めている.夏日には,夏休みの楽しい思いを連想させる響きがある.一方真夏日は,文字通り真の夏日で暑さの象徴である.しかし,これらも猛暑日が続いてすっかり影が薄らいでしまった.今年の暑さを際立たせる特徴は,夜も30℃以下にならない日が多く,熱中症による死亡記事も相次ぎ,2007年には年間で904名の死亡報告があるがそれをはるかに上回るペースで増えていることであろう.犠牲者は高齢者に多く,しかもほとんどが屋内で発見される.原因として猛暑,年齢ゆえに低下した感受性,冷房の風は良くないとの思いこみが挙げられているが,私には昭和の前半に生まれ育った人々の我慢強さが裏目に出たと感じられてならない.戦後すぐの焼け跡から忍耐強く新しい時代を作ってきた人たちが,その我慢強さゆえに犠牲になったと思うと,痛ましく辛い.
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