--------------------
編集後記
高橋 正明
pp.770
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105912
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
21世紀最初の暑い夏が終わりました.あれだけ暑いにもかかわらず蝉の声があまり聞かれない不思議な夏でした.聞かれないといえば,何にでも付けられた21世紀最初という言葉もいつの間にかどこかにいってしまったようです.単に色あせたというよりも,新世紀早々に引き起こされた5%を超える最悪の失業率と株価低迷の先行き不安が21世紀のイメージとして定着しないように,無意識の力が働いているような気がしてなりません.
一方この夏はわが国にとって新世紀の華々しい出来事もありました.次期主力ロケットH2A一号機打ち上げ成功のニュースです.技術が最先端になればそれだけ余裕のないところにシステムが構築されるため,ハイリスクになるのは仕方ありません.しかし,一機一千億円もするような衛星を打ち上げるわけですから失敗が許されないことも事実です.ロケットの打ち上げ成功は,リスクマネジメントの最たるものではないでしょうか.続けて二度の打ち上げ失敗があり,その後もミスが続いて打ち上げが延期され,わが国の先端技術に対する信頼性は危うく地に落ちるところまで追いつめられ,関係者にとっては背水の陣,今までになく用意周到な準備を期したのだそうです.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.