特集 徒手理学療法
徒手理学療法の基礎となる機能解剖学
佐藤 友紀
1
Tomonori Sato
1
1豊橋創造大学保健医療学部理学療法学科
pp.645-651
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101720
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はじめに
これまで徒手理学療法と言えば明らかに手技が注目され,徒手理学療法=治療手技という印象が強かった.しかし,治療手技を生かすためには多くの検査(表1)を行い,検査から得られた症状・所見の解釈を基に,どのような治療が必要なのか考える過程がある.
この症状・所見の解釈という過程に機能解剖は欠かせない.機能解剖を基に,症状・所見の解釈から病態推測を行うことで,適切な治療手技選択が可能となる(図1).
一方,機能解剖は検査・治療手技の方法自体に直接役に立つという側面もある.例えば,頸椎と腰椎では椎間関節面が違うため,それぞれの角度の違いを考え,関節面に沿った方向に治療手技を加えることで,関節面の負担を最小限にすることができる.
筆者は,機能解剖を出発点とすることで,病態推測から治療・管理方法,予後の説明に至る前者の過程が特に重要であると考えている.本稿では,機能解剖を理解しやすくするため,機能解剖に必要な解剖と力についてまず簡単に説明する.そして,解剖と力の組み合わせである機能解剖(動きと組織の関係)について,四肢には含まない椎間板が存在する腰椎を説明することで全体を網羅したい.さらに,機能解剖を生かした病態推測の1例を挙げ,機能解剖の重要性を強調する.
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