特集 これからの理学療法
理学療法の効果判定に適切な具体的指標は―心理
富樫 誠二
1
Seiji Togashi
1
1大阪河﨑リハビリテーション大学
pp.51
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101584
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●理学療法の効果に心理の果たす役割
理学療法は身体とこころに迫る治療体系である.つまり,人間を総体として診ることが重要で,そうしなければ成功しない.理学療法士のような人と人とが関係する職業においては,心理学が重要な役割を果たしてきた.人間のこころを対象にする心理学のフィールドは広く,行動分析学,認知心理学,感情心理学,社会心理学,あるいは発達心理学などがある.
患者の心理を理学療法の効果判定の指標として用いることは重要である.具体的な指標としては,患者の感情・認知・行動(意思)があり,この3つのプロセスから患者を理解することは,理学療法を効果的に行うために必要である.また,自分の感情・認知・行動を知ることも,効果判定にとって大切であることを忘れてはならない.今回は,感情・認知・行動という一連のプロセスのなかで,喜怒哀楽といった最もプリミティブな感情を取り上げる.感情というと何か捉えられない,わからないものというイメージがある.そのためか,感情ではなく行動に注目することが正しいというような偏った科学論が横行しているが,世界は感情で動いているといっても過言ではない.
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