特集 膝関節疾患の理学療法
人工膝関節全置換術の理学療法と運動機能回復
木賀 洋
1
Kiga Hiroshi
1
1医療法人葦の会石井クリニックリハビリテーション科
pp.775-781
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101482
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はじめに
人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:以下,TKA)は国内でも年間5万例が行われ,決して特別な手術ではなくなっている.また,在院日数の短縮化(早期退院),診療報酬の算定日数制限など医療・介護保険制度の変革,高齢化社会の進展に伴う膝機能の改善に関するニーズの変化などにより,評価や後療法も変化している.
これらのことから,手術やリハビリテーション(以下,リハビリ)を含めた治療効果について客観的に捉えること,そして,退院後も含めたADL(activities of daily living)・QOL(quality of life)の維持,向上に対し,どのようなアプローチを行うかが重要な課題となっている.術後評価については,ルーズニング(骨とインプラントの間の弛み)などの人工関節とその支持性に関する報告,手術の目的である疼痛や関節可動域の改善に関する報告,それらに深く関わる軟部組織の評価に関する報告も増えてきている.そこで,本稿では,当院におけるTKA患者の周術期の評価や後療法,術後ADL・QOLの向上に対する取り組みについて述べる.
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