講座 経頭蓋磁気刺激と理学療法・3
経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いた廃用性筋出力機能低下の評価
金子 文成
1
1独立行政法人産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門身体適応支援工学グループ
pp.767-773
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101028
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はじめに
廃用症候群は,過度の安静・臥床により活動性が低下した結果として起こる退行性変化であり,運動機能の低下が含まれる1).特に,筋などの不使用である廃用により運動機能が低下することを,廃用性運動機能低下という.理学療法の介入対象には,臥床,関節固定,さらには環境の変化に伴う運動量の減少に至るまで,実に幅広く廃用を引き起こす身体状況が含まれる.したがって,廃用性運動機能低下の機序を知ることは,専門家としての責務であると考える.筆者らは,日常的に理学療法の対象としている廃用がもたらす運動機能低下に関して,神経生理学的解析によりその理解を深めることを目標とし,経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)や末梢神経に対する電気刺激を用いた研究を継続してきた.また,ここ10数年の間に,いくつかの研究グループによって,廃用による運動出力機能における神経生理学的変化を調べた研究が報告されてきた.連載第3回目となる本稿では,特に,廃用となる状況を関節固定に絞り,それによって生じる中枢神経系の機能的変化をTMSの使用により解析した研究について解説する.
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