講座 経頭蓋磁気刺激と理学療法・1【新連載】
経頭蓋磁気刺激(TMS)のリハビリテーションにおける活用
笠井 達哉
1
Kasai Tatsuya
1
1広島大学大学院国際協力研究科教育文化専攻教育開発講座 スポーツ・健康科学教育部門
pp.585-593
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100989
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はじめに
大脳皮質運動野の経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)によって,筋電図として記録される電位を運動誘発電位(motor evoked potential:MEP)と呼ぶ.運動野に磁気刺激を行い,MEPとして記録された筋電図の潜時,閾値,振幅,そして筋放電休止期の違いから,中枢性運動機能を評価することが可能である.この方法は,現在の理学療法の臨床では,未だ十分な認知を得るに至っていないが,将来的には随意運動機能障害の有力な診断方法として,その有用性が注目され,活発に活用されるようになるであろう.そこで本講座では,理学療法の基礎科学である運動神経生理学的観点から,TMSのメカニズムと有用性,そしてその臨床応用において,適切な結果の解釈と診断に資する最新の知見について解説する.連載第1回の本稿では,特にTMSの神経生理学的基礎理論とそのメカニズムについて概説する.
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