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はじめに
筆者は,東京都・江東区スポーツ公社が自主事業として区民向けに行っている「リハビリ教室」(江東区健康センターで実施)の運営に,1989(平成元)年の設立時から関わっている.今年で18年目になるが,リハビリ教室の内容は,医療機関での急性期・回復期リハビリテーションを終了し,地域に戻った人たちなどを対象とする維持期リハビリテーションで,身体機能や精神機能の現状維持が第一目標になる.具体的には,主にトレーニングマシンを使用して筋力強化や維持,身体バランス改善などの運動を行い,それに加えてストレッチやヨガなどによる関節可動域の改善,身体の柔軟性の維持,および参加者相互のピアカウンセリングによる精神機能の改善などを行っている.
これまでに,高齢者から若年者まで,脳血管障害や交通事故などによって退院後も上肢や下肢に後遺症をもつ人など,区内の多くの人たちが参加してきた.リハビリ教室を終了したほとんどの人たちは,現在も地域で元気に生き生きと生活している.
2006年4月に改正された介護保険制度では,要介護状態の予防や悪化防止を目的として,介護予防に重点が置かれている.近年,複数の福祉用具メーカーが介護予防のために色々なトレーニングマシンを開発しているが,機器を利用する筋力トレーニングも介護予防の一分野である.東京都老人総合研究所で養成している「介護予防運動指導士」の包括的高齢者運動トレーニングや,パワーリハビリテーション研究会が行っている,筋力強化プログラムでもトレーニングマシンを使用している場合が多い.
本稿では,まず「介護予防は誰がどのように行うのか」というテーマの前提として,今なぜ介護予防なのか,介護予防とリハビリテーションとの関連性などを明らかにする.そして,私たちが行っているリハビリ教室のコンセプトや内容を紹介しつつ,介護予防に関わる専門職に必要な知識について考察したい.
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