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パーキンソン病は,近年のめざましい治療法の進歩などにより,発症後15~20年までの死亡率が,一般住民とほとんど差がないといわれる1).その一方で,廃用や誤用により機能・能力に障害をきたしている例も少なくない.また,いまだに進行をとめる治療がないことも事実である.進行を考慮し個々の患者に適した日常生活動作や運動療法を指導するにあたって,理学療法士の果たす役割も大きいと考える.パーキンソン病の運動療法や日常生活動作方法の実際は,その特徴的な運動障害ゆえに多くの本でみることができる.しかし患者によって現れてくる現象は様々で,一人一人に応じた個別のプログラムを組むことで,より効率のよい成果を得られる.動作分析をしっかり行い個々の障害像をきちんと捉え,根拠のあるプラン作りに役立てたいものである.以下に,その入門方法について述べていくが,基本的な部分はパーキンソン病に限らずすべての疾患などに共通するものである.
動作分析のすすめかた
Ⅰ.姿勢分析
時間的要素を含まない姿勢の分析は,動きを伴う動作分析に比べ単純でわかりやすい.さらに,動作をある姿勢から次の姿勢への時間的変化によって行われ得るものとしてとらえれば,姿勢分析は動作分析の土台ともいえる.きちんとした姿勢分析を積み重ねることは,動作が見えるようになるための一つの手段と考える.また動作における問題点がよくわからなくなったとき,姿勢分析をきちんと行うことで,解決への糸口がつかめることもある.患者の姿勢からその問題点をつかむためには,まず正常な姿勢を知る必要がある.以下にそれぞれの体位における基本的な肢位(正常なもの)および見かたを記す.この肢位と患者の肢位を各部位ごとに一つ一つ照らし合わせ,違う部分をすべて記録し,問題点を考えてゆくとよい.
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