講座 福祉工学の最前線 3
地域生活領域における福祉工学の現状と課題―アシスティブ・テクノロジーの展開と福祉用具の選定・適合の課題
木之瀬 隆
1
Kinose Takashi
1
1首都大学東京健康福祉学部作業療法学科
pp.775-780
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100392
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はじめに
近年の医用・福祉工学の進歩は目覚ましく,介護用ロボットの実用化に関する研究も進みつつある.欧米ではリハビリテーション工学の障害者支援技術として,アシスティブ・テクノロジー(Assistive Technology:以下,AT)を活用した生活支援が一般的に行われている1,2).特に国際生活機能分類(ICF)に基づいた支援が提供されており,障害のある人が自由に教育を受け,一般の人と一緒に競争社会の中で働く状況がある.
国内のリハビリテーションの現場においても,アセスメントにICFが使用される施設が増えつつある3).それ以前の国際機能分類(ICIDH)では,身体機能の回復に主眼をおいたアプローチであったが,現在は,急性期を扱う医療機関であっても,クライエントが退院後,どこで,どのような生活を営むのかを考慮してリハビリテーションを行う必要がある.臨床現場の理学療法士・作業療法士は,そのような時代の変革に合わせた対応が必要である.本稿では,ICFの環境因子の「生産品と用具」を解説し,国内で行われているATの取り組みの一部について紹介する.また,介護保険法における福祉用具の選定・適合技術の課題について言及する.
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