特集 脳科学からみた理学療法の可能性と限界
成人の脳の可塑性と限界
川島 隆太
1
Kawashima Ryuta
1
1東北大学未来科学技術共同研究センター
pp.209-213
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100046
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脳の可塑性とは,臨床においては,特定の脳活動を繰り返すことにより(多くはリハビリテーションとして行われる)脳の機能を回復することを意味し,細胞レベルではシナプスや神経線維が発達することによって,機能代償を可能とするネットワークが形成されることを示す.広義では,学習の脳内メカニズムに非常に近い概念を示すこともあり,乳幼児が環境などによって,様々な能力を獲得していく脳内現象を可塑性と呼ぶこともあるが,本稿では臨床的な意味で可塑性という言葉を用いることにする.
外傷や疾病による脳損傷からの脳機能回復(可塑性)は,発達期にある乳幼児に強く発現し,成人になるとその発現は弱いことが一般的に知られている.同じリハビリテーションを行っていても,可塑性の発現の度合いは個人により異なるが,この差がいったいどのような脳内機構に起因するのかは,いまだに科学的に明らかになってはいない.
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