増刊号 臨床血液検査
III.血液病理検査
4.特殊な技術
1)マイクロウェーブによる急速固定法
布施 恒和
1
,
宮沢 光瑞
2
1山形大学医学部附属病院検査部
2山形大学医学部臨床検査医学講座
pp.399-402
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906573
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はじめに
形態学分野における固定の目的は,第一に,生体から取り出された組織の自己融解や腐敗などの変化を停止させ,組織,細胞の構造や酵素活性および抗原性をできるだけ生体時に近い状態に保持することである.第二は,組織学的・細胞学的な観察に適する状態にすることである.そのためには,物理化学的方法を用い,組織や細胞内物質を不動化させて,流出や拡散を抑制すると同時に,不都合な物質を溶出させる必要がある1).
組織,細胞は大量の水分と蛋白質,脂質,糖質,その他の物質から構成されているが,これらのすべてを前述の目的に沿って完全に満足させることは,個々の組織や細胞の成分が異なるため不可能である.したがって,最初に組織を構成している蛋白質を安定化させ,組織細胞の微細構造を保持させることが必要である.次に,観察目的に応じた固定法,すなわち適切な固定法,固定液の選択が要求される.
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