組織内照射型マイクロウェーブアンテナを用いた区別低体温療法の基礎的研究

Fundamental Study of Differential Hypothermia Treatment for Brain Tumor Using An Interstitial Microwave Antenna

　I．はじめに　悪性脳腫瘍に対する治療法としては，手術療法，放射線療法，化学療法さらに免疫療法が試みられている．しかし，いずれの治療法にも限界があり，現在のところ悪性脳腫瘍の根治は非常に困難である．最近では，新しい方法として温熱療法の応用が試みられている^{2,20,21,34）}．われわれは1969年以来，温熱療法の一種である区別低体温法（Differential Hypothermia, DH）の基礎的および臨床的研究を行っている^7,8,11,28）．本法は1965年，Popovicらによって最初に報告され^14-18），全身低体温下に腫瘍局所のみを正常体温に加温保持し抗腫瘍効果を発揮するものである．今回は，加温方法を改良し，より正確に区別低体温法を応用する目的で，組織内照射型マイクロウェーブアンテナを開発し，その加温パターンおよび正常脳組織の温熱に対する生理学的変化を検討した．

An interstitial microwave antenna system was de-vised for differential hypothermia treatment. It was evaluated for its ability to induce localized brain hyper-thermia in hypothermic monkey. Ten brain hyperther-mia trials have been performed in 6 monkeys.