増刊号 臨床血液検査
III.血液病理検査
1.組織学的検査
1)骨髄
糸山 進次
1
1埼玉医科大学総合医療センター病理部
pp.364-370
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906568
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■血栓や出血に関係のある病態
止血機能の異常に関係のある病態は数えきれないほどあるが,主として血小板の異常,凝固因子の異常,それに血管の異常に大別できる.血管の破綻によって出血が起こったとき,血管には収縮することによって出血を防ごうという反応が生理的に起こり,血小板がそこに凝集し,さらに凝固因子の活性化により最終的にフィブリノゲンがフィブリンに変化して血栓を形成する.また,血栓形成の一方的な進行を抑制するプラスミン系の因子がある.これらは互いに関連の深い変化であるので,実際の症例においても単一の系の変化だけにとどまらないものが少なくない.
病態はさらに先天的異常と後天的異常,アレルギー疾患や自己免疫疾患,代謝異常や変性疾患といった見方からも分類される.例えば,先天性異常としては,Down症に伴う血液細胞の異常,血友病やvon Willebrand病などの凝固因子の異常,Ehlers-Danlos症候群やMarfan症候群など結合織の異常に関連した血管変化,Gaucher病やNiemann-Pick病などの先天性代謝異常が骨髄を含む細胞内皮系全般に及ぼす変化がある.
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