走査電顕の目・5
骨髄
小川 哲平
1
1慶大内科
pp.561-562
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908090
- 有料閲覧
- 文献概要
骨髄というと骨髄穿刺液の塗抹標本を見なれているせいか,液状の組織のように思われる人が多いようである.しかし骨髄は骨質にかこまれ一部には骨梁がはよいり込んではいるが,肝臓などのほかの臓器と同様に形をなした臓器である.したがって,骨髄穿刺液の塗抹標本ではその正しい理解は得られない.たとえば脂肪成分は塗抹標本の固定時になくなってしまっていることなど,造血巣の状態で把握しにくい点があり,また塗抹標本一様に細網細胞といわれているものは,骨髄にある動脈や静脈あるいは静派洞などの内皮細胞や,その血管周辺にある辺縁細胞,網状構造を作って造血細胞を支持している細網細胞,赤芽島中心にある細網細胞などが,その位置点関係を失って見られるためきわめて複錐となる.
今回は骨髄中の静脈洞を中心にながめてみたい.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.