増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
A.検査法
(13)可溶性フィブリンモノマー複合体
掛端 健一
1
1八戸市立市民病院臨床検査科
pp.249-252
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906526
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■測定の意義
種々の原因により,血液凝固が開始すると血液中にトロンビンが生成される.このトロンビンの作用によりフィブリノゲン(Fbg)が分解されてフィブリノペプチドA(FPA)とフィブリノペプチドB(FPB)を遊離し,フィブリンモノマー(Fm)が形成される.このFmはFbg,分解初期のフィブリン体分解産物(FDP),寒冷不溶性グロブリン(Clg;別名フィブロネクチン)と親和性が強く,複合体を形成する.これが可溶性フィブリンモノマー複合体(soluble fibrin monomer complex;SFMC)である.したがって,血漿中のSFMCは,微量のトロンビンが生成されたことを示す指標であり,SFMCの検査は臨床的には凝固亢進状態の把握や,血栓症,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)の凝血学的スクリーニング検査として用いられている.
最近,厚生省DIC診断基準項目における補助的検査項目にも取り入れられ,他の検査と併用することにより,その病態が詳細に把握できると言われている.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.