増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
A.検査法
(2)プロトロンビン時間(PT),トロンボテスト(TTO)
鈴木 節子
1
1横須賀共済病院中央検査科
pp.191-195
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906512
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■測定の意義
1935年にA. J. Quickがプロトロンビン時間(prothrombin time;PT)測定一段法を考案したが,これは血漿中のプロトロンビン(凝固II因子;F. II)および第V因子(F. V),第VII因子(F. VII),第X因子(F. X),フィブリノゲン(I因子),それらの阻止因子などを包括した外因系凝固異常の検出に適用され,因子の欠損,消費による止血作用の低下状態を総合的に検知する検査法である.
本測定法の適応には,①スクリーニング検査として病状の把握・出血時や手術時に補給すべき因子を検索する,②肝臓で合成されるビタミンK依存性凝固因子の減少を検出し,これらの合成能障害(新生児メレナ・ビタミンK欠乏症,肝疾患など)の指標となる,③虚血性心疾患(心筋梗塞など),人工弁使用者でのクマリン系経口抗凝血薬療法のモニタリング,このほか血友病ではPTは延長を示さないが,ウシ脳由来の組織トロンボプラスチンを使用すると延長する血友病BMの検査がある.また,血液中に組織液や細胞破壊物が流入して起こる凝固亢進状態では,凝固時間が短縮することになるが,PTでは,十分量のトロンボプラスチンを加えて検査するため,その変化は凝固亢進をとらえ難い.
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