増刊号 臨床血液検査
I.形態学的検査
2.その他の検査
2)血液幹細胞の培養法とサイトカイン
中畑 龍俊
1
1信州大学医学部小児科
pp.95-103
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906491
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はじめに
血液中には形態と機能を異にする種々の血球が存在するが,それらはいずれも固有の寿命で崩壊している.しかし,正常な個体では各血球数はほぼ一定に保たれており,出血,感染などに際しては,それに反応して速やかに赤血球,好中球が増加する.このように血球の産生には,極めて巧妙な造血調節機構が存在していると考えられる.
すべての血球は共通の母細胞である全能性(pluripotent)造血幹細胞(stem cell)に由来することが証明されている.造血幹細胞から各血球系の終末細胞への増殖・分化の調節機構は,近年,多大の関心を集めている分野であり,これに関与する種々の造血因子(サイトカイン)の存在が明らかにされてきた.
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