増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
3.応用編—遺伝子検査を利用する
4)個人識別
(2)HLAタイピング
柏瀬 貢一
1
1東京都赤十字社血液センター検査部
pp.1138-1145
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
HLA(human leukocyte antigen,ヒト白血球抗原)タイピングは,骨髄移植,腎臓移植,HLA適合血小板での患者とドナーの適合性を判断するうえで必要不可欠の臨床検査として定着している.さらに,HLAはヒトのなかで最も多型性(個人差)を示す抗原系であることから,人類学では集団の類縁関係の調査,法医学では個人の特定や親子鑑定に利用されている.また,特定の疾患ではHLAタイプが疾患感受性・抵抗性と相関することが知られていることから,疾患の診断の補助に使われるなど,その応用分野は多岐にわたっている.
ここでは,HLA遺伝子群が個人識別のマーカーとして優れている点と最近急速に進歩したHLAのDNAタイピング法を中心に概説する.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.