増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
3.応用編—遺伝子検査を利用する
1)感染症
(4)単純ヘルペスウイルス
原 紳也
1
,
木村 宏
1
1名古屋大学大学院医学研究科小児科学
pp.1013-1015
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906344
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はじめに
単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus,以下HSV)は,他のヘルペスウイルス同様に初感染後,感染が治癒しても宿主内に潜伏感染する.そのため宿主の免疫が低下する状況,例えば,加齢,骨髄・固形臓器移植後またはHIV感染などで再活性化(回帰感染)するという特徴を持つ.また,その臨床像は,年令,ウイルス型別,基礎疾患の有無などから多様である.HSV感染症の診断は特徴的な経過・皮疹から容易なものもあれば,確定診断が非常に困難なものまでさまざまである.
従来HSV感染症の診断は病巣からウイルスの存在を証明するウイルス分離,あるいはウイルス抗原の検出,もしくは血清学的に特異的ウイルス抗体産生の証明によってなされてきた.近年ではウイルスDNAの検出,なかでもポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)法により微量DNAの検出が可能となった.最近では定量の技術の進歩により診断のみならず,抗ウイルス剤の治療効果判定が可能となった.本稿ではこのPCR法の単純ヘルペスウイルス感染症への応用について,われわれの小児科領域での成績を含め概説する.
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