Laboratory Practice 血液 骨髄塗抹標本の見かた
異常細胞の見かた・4 巨核球系の異常
数の異常
西村 敏治
1
,
松谷 章司
2
1NTT東日本関東病院臨床検査部
2NTT東日本関東病院病理診断部
pp.461-465
発行日 2002年5月1日
Published Date 2002/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906193
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はじめに
巨核球系細胞は顆粒球系・赤芽球系細胞と異なり,核の倍数性や細胞質容積の増大を伴って成熟する.増殖・成熟過程においてMeg-CSF・IL-3・IL-6・IL11・トロンボポエチンなど複数の増殖刺激因子が作用する.巨核球の幼若段階では細胞質のリボソームが増加(細胞質が塩基好性)しているが,成熟とともにアズール顆粒などさまざまな顆粒を合成する.1個の巨核球から2,000〜5,000個の血小板が産生されるといわれるが,血小板数は巨核球数の増減はもちろんのこと,形態的には核の倍数性(2N・4N・8N・16N・32N・64N)や血小板分離膜の発達の程度にも影響される.巨核球の成熟段階では凝固関連因子であるフォン・ウイルブランド因子(von-Willebrand factor;vWF)や,細胞の活性および増殖を刺激する血小板由来増殖因子(platelet derived growth factor;PDGF)などを産生する.
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