見開き講座 分子細胞遺伝学への道しるべ・22
染色体14.染色体異常の発生頻度
田村 高志
1
1杏林大学保健学部臨床遺伝学教室
pp.1226-1227
発行日 2002年10月1日
Published Date 2002/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906408
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新生児集団における頻度
1960年代に世界各地で大規模な新生児集団における染色体異常の調査が行われた.欧米の7つの調査を集計したものとわが国の前田らと黒木らの2つの報告を表1に示した.表から新生児集団における染色体異常の発生頻度は約0.6%で,人種による差や地域による差も認められなかった.0.6%の頻度とは170人に1人の割合であり,わが国の年間の出生数を120万人とすると7,200人の染色体異常児が生まれていることになる.
それぞれの発生頻度についてみると,21番染色体トリソミー〔ダウン(Down)症候群〕が最も高く,次いで47,XXY〔クラインフェルター(Klinefelter)症候群〕と47,XYYの性染色体異常がみられた.また,構造異常では均衡型転座が多くみられた.染色体異常の発生要因として,トリソミーでは出産時の母年齢が高いこと,構造異常では親の染色体異常(均衡型転座保因者)が挙げられている.
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