増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
7.組織内病原体の日常染色法
b)抗酸菌の染色法
オーラミン・ローダミン蛍光染色
鈴木 慶治
,
高橋 順子
,
堀口 日出子
,
椎津 稔
,
矢島 幹久
pp.764-767
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905885
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オーラミン・ローダミン染色(Auramine-Rhodamine stain)は蛍光色素を用いた抗酸菌染色法であり,病理組織標本,細菌塗抹標本のいずれに対しても行われる.蛍光顕微鏡による鏡検で,菌体が暗い背景に明るく光って観察され,低倍率で広い範囲を効率よく検索できる特徴を持っている.代表的な抗酸菌染色であるチール・ネルゼン染色(Ziehl-Neelsen stain)と比較して,本染色法の菌検出率の高さを指摘する報告がある1〜3).
抗酸菌の大きな特徴の1つに,酸またはアルカリに対して抵抗性を持つことが挙げられる.他の一般細菌の細菌表面の化学的組成が親水性物質であるのに対して,らい菌,結核菌などの細胞壁は,ろう様物質であるミコール酸でできていると説明されている.この物質が存在するため,抗酸菌染色では石炭酸溶液に溶かした色素を使用し,加温染色する.染色後,抗酸菌は塩酸アルコールで洗っても,他の細菌と異なり脱色に抵抗する特性を有している.
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