増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
6.組織内血液細胞の日常染色法
ペルオキシダーゼ反応
日野浦 雄之
,
片岡 寛章
pp.742-744
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905878
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ペルオキシダーゼ(peroxidase)は過酸化物(過酸化水素など)の存在のもとに基質を酸化する酵素であり,骨髄系細胞のほとんどのものに存在するといわれている.なかでも好中球や好酸球などに多く含まれている.しかし,リンパ球系細胞や幼若赤血球には存在しないという点から,ペルオキシダーゼ反応(peroxidase reaction)はこれら両者の細胞鑑別に応用されてきた.したがって,各成熟段階にある顆粒球系の細胞が陽性所見を示すため,白血球ペルオキシダーゼ反応は白血病(特に骨髄性白血病)に際して,腫瘍細胞の鑑別に有益な酵素染色法として広く利用されている.
本反応は従来,骨髄の塗抹標本に対して行われてきた.組織標本に対しては各種の免疫組織化学的染色法の普及により,現在ではあまり汎用されていない.したがって,組織標本(各臓器の凍結切片)においては,詳しい細胞形態の観察が困難であるため,陽性所見による顆粒球系細胞の多寡を識別するにとどまるのが現状である.
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