検査じょうほう室 血液 血液染色のコツ
ペルオキシダーゼ染色
大竹 順子
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部
pp.456-460
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100658
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ペルオキシダーゼ染色の目的
ペルオキシダーゼ(peroxidase,以下P-O)酵素は広く植物,動物の細胞に分布している.ヒトでは血液細胞,特に白血球に存在し,急性白血病の分類であるFAB分類,WHO分類の重要な指標として用いられている.骨髄系細胞は幼若から成熟細胞までP-O染色陽性を示し,リンパ球系細胞は陰性である.しかし,極めて幼若な骨髄系芽球はP-O染色陽性と陰性の両方の場合があり,FAB分類では骨髄系芽球がP-O染色陰性となるのはM0,M5aの一部,M7である.FAB分類では芽球が3%以上陽性ならばP-O染色陽性とし骨髄系の急性白血病,陽性の芽球が3%未満の場合は,P-O染色陰性とし,リンパ系,骨髄系の両方を考える.
芽球のP-O染色性は,ごく弱く染まるものから,強く陽性に染まるものまで症例により異なり,弱陽性も強陽性も陽性と判断する.このためP-O染色は感度がよく,再現性に優れ,染色性が鮮明で弱陽性細胞が見やすく,細胞の種類が判別しやすい染色法で,実際の染色では,簡便な方法で短時間で染色できることが望まれる.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.