日常染色法ガイダンス 組織内血液細胞・酵素の日常染色法
ペルオキシダーゼ反応
日野浦 雄之
1
,
片岡 寛章
2
1宮崎医科大学附属病院病理部
2宮崎医科大学病理学第2講座
pp.781-783
発行日 1998年8月1日
Published Date 1998/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903584
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
目的
ペルオキシダーゼ(peroxidase)は過酸化物(過酸化水素など)の存在のもとに基質を酸化する酵素であり,骨髄系細胞のほとんどのものに存在するといわれている.なかでも好中球や好酸球などに多く含まれている.しかし,リンパ球系細胞や幼若赤血球には存在しないという点から,ペルオキシダーゼ反応はこれら両者の細胞鑑別に応用されてきた.したがって,各成熟段階にある顆粒球系の細胞が陽性所見を示すため,白血球ペルオキシダーゼ反応は白血病(特に骨髄性白血病)に際して,腫瘍細胞の鑑別に有益な酵素染色法として広く利用されている.
本反応は従来,骨髄の塗抹標本に対して行われてきた.組織標本に対しては各種の免疫組織化学的染色法の普及により,現在ではあまり汎用されていない.したがって,組織標本(各臓器の凍結切片)においては,詳しい細胞形態の観察が困難であるため,陽性所見による顆粒球系細胞の多寡を識別するにとどまるのが現状である.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.