増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 3 血球形態検査
1.末梢血検査
5)判定基準
丹羽 欣正
1
1奈良県立医科大学附属病院中央臨床検査部
pp.751-758
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905444
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はじめに
末梢血液塗抹標本を観察することは,血液の中を直接のぞき見ることであり,血液細胞の状態が正常であるか否かを,自分の目で直接判定する手段である.すなわち,検査を行う者の目および頭の中の判定基準が,そのまま検査成績に反映する検査方法であり,適切な判定基準のもとにトレーニングを積んだうえで挑まなければならない検査手段であるといえる.
最近では自動血球分析装置の機能向上により,各種血球の数値的諸情報および正常白血球の分類に関しては,機械まかせでもほぼ信頼できる成績が得られるようになった.しかしながら,ここで重要な問題となってくるのは,何が異常で,何が正常かの適切な判別能力が,分析装置を扱う者には必要であるということである.つまり,いかに自動血球分析装置の高機能化がなされても,各血球を的確な判定基準をもって行う顕微鏡観察技術の習熟が,血液検査に携わる者には必須事項であることには変わりはない.
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