技術講座 微生物
抗菌薬の血中濃度モニタリング
中村 裕義
1
,
大森 栄
2
,
北田 光一
2
1千葉大学医学部附属病院薬剤部・試験研究室
2千葉大学医学部附属病院薬剤部
pp.1273-1281
発行日 1999年10月1日
Published Date 1999/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903989
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新しい知見
FPIA法血中VCM測定用試薬の進歩
現在,臨床における塩酸バンコマイシン(VCM)の血中濃度測定はほとんどが蛍光偏光免疫測定法(FPIA法)で行われている.本法は迅速性・簡便性に優れた方法であるが,免疫測定法の欠点である代謝物など構造の類似した化合物との交叉反応が問題となる場合がある.生体内に投与されたVCMは,ほとんどが未変化体のまま腎臓から排泄されるが,一部は抗菌活性のない分解産物であるcrystalline degradation product-1(CDP-1)へと変化する.CDP-1は腎機能障害患者では蓄積性があることが報告されており,VCMのFPIA法による測定で一般に用いられているTDXTM-バンコマイシン「アボット」においては交叉反応性が問題となっていた.
しかし,最近CDP-1との交叉反応性がほとんどないアキシムVCM-II・ダイナパックTMが開発され,腎機能障害患者に対する薬物血中濃度モニタリングをより適正に行うことが可能となった.
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