増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅶ.抗菌薬の抗菌力試験
10.抗菌薬血中濃度モニタリング
大森 栄
1
1千葉大学医学部附属病院薬剤部
pp.266-268
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902795
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■TDMとは
14,000を超える薬物が臨床において使用され,薬の効果ばかりでなく,その副作用や多剤併用時の相互作用が問題となってきている.したがって,薬物の適正な使用に関しては十分な注意が必要である.薬物は体内に吸収された後,体内に分布し,そのままの形で,あるいは形を変え体外に排泄される.薬物の生体内濃度は投与経路,投与後の時間によって異なる.また,薬物を服用する患者の年齢,身長,体重,生理的状態,栄養状態ならびに病態などが個々で同じでないことから,薬物の体内動態には個人差が大きい.そこで現在,薬物血中濃度を基にした薬物の適正使用を目指し,治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)が行われるようになってきている.TDMを必要とする臨床状態ならびに薬物については表1に示したが,保険診療上,特定薬剤治療管理料が適用される薬物の中にアミノグリコシド系抗菌薬,バンコマイシンが含まれている.
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