特集 造血器腫瘍
Ⅳ 検査の実際
7.移植―5)免疫抑制剤の血中濃度モニタリング
早川 智久
1
,
森田 邦彦
1
,
谷川原 祐介
1
Tomohisa HAYAKAWA
1
,
Kunihiko MORITA
1
,
Yusuke TANIGAWARA
1
1慶應義塾大学医学部薬剤部
pp.1465-1468
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905260
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はじめに
骨髄移植術後には,移植片対宿主病(graft ver-sus host disease;GVHD)の回避を目的にシクロスポリン(CyA)やタクロリムス(FK 506)などの免疫抑制剤の投与が必須となる.
これらはいずれも血中濃度の有効・安全域が狭く,いわゆる"サジ加減"が難しいとされる薬剤であることから,薬物血中濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)に基づく綿密な治療管理あるいは投与設計が必要とされる.すなわち,有効かつ安全な血中濃度域を上回れば,肝障害や腎障害が発現し,逆に下回れば拒絶反応が起こるなど,これら免疫抑制剤のTDMの実践は,骨髄移植をはじめとする移植医療の成否を左右しかねない重要な位置づけといえる.
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