病気のはなし
遺伝性黄疸
足立 幸彦
1
,
石原 知明
1
1三重大学医学部第3内科
pp.1066-1072
発行日 1999年8月1日
Published Date 1999/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903944
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新しい知見
Gilbert症候群は日常診療においてしばしば遭遇し,ビリルビンUDPグルクロン酸転移酵素遺伝子〔bilirubin UDP-glycosyltransferase(;UGT1A1)遺伝子(UGT1A1)〕の変異を検索することにより遺伝子診断が行われている.UGT1A1は基質特異性のあるエクソン1Aと共通エクソン2〜5からなり,エクソン1Aの上流にTATAボックスを含むプロモーター領域が存在する.UGT1A1の解析は,患者末梢血白血球から得たgenomic DNAから各エクソンのPCR増幅を行い,ダイレクトシークエンシングで塩基配列を決定する(図2).Gilbert症候群患者の中にもUGT1A1の遺伝子異常を見いだせない症例や,健常者でもUGT1A1の遺伝子異常を認める症例が一部存在する.Gilbert症候群の診断のための遺伝子変異の検索は重要ではあるが,発症には他の要因がさらに加わっている可能性があり,これらの症例をどのように取り扱うかが今後の課題である.
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