病気のはなし
ヘリコバクター感染症
井本 一郎
1
,
田口 由紀子
1
,
足立 幸彦
1
1三重大学医学部第3内科
pp.624-630
発行日 1998年7月1日
Published Date 1998/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903551
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新しい知見
従来,胃・十二指腸疾患はストレスや喫煙などにより発生すると考えられていたが,ヘリコバクター・ピロリの発見により,胃炎,消化性潰瘍,胃癌などの疾患が感染症の側面を有することが明らかとなった.本菌の除菌により胃粘膜の炎症は軽減し,潰瘍の再発率は著明に低下する.しかし,除菌後一部の症例に逆流性食道炎や十二指腸びらんが発生することが報告されている.非侵襲的な検査法として,13C尿素呼気試験が感度,特異性ともに高く有用とされている.予防と治療を兼ねたワクチン療法はホットな話題であるが,現時点では動物モデルを用いた実験段階にとどまっている.
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