増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第VIII章 新しい技術
4.免疫電顕法
日高 恵以子
1
,
石川 雅世
1
1信州大学医学部附属病院中央検査部
pp.352-354
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903550
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はじめに
免疫電顕法(immuno-electron microscopy)1)とは,細胞内あるいは組織内のある特定の物質の存在部位を,抗原抗体反応を利用して電子顕微鏡レベルで観察を行う技法である.したがって,免疫電顕法では,目的とする物質の確実な局在の検索と,優れた超微形態の保持が要求される.そのためには,抗原は抗原性を保持した状態で細胞,組織内のあるべき場所に正確に固定されなければならず,さらに,抗原抗体反応が組織,細胞のすみずみにおいて十分に行われなければならない.特異性,抗体活性ともに優れた抗体を用いることは欠かせない条件となる.
免疫電顕法には,凍結切片上で免疫染色を行ってから電顕用に包埋し,超薄切片を作製して電顕観察を行う包埋前染色(pre-embedding)法と,樹脂包埋後,超溝切片上で免疫染色を行う包埋後染色(post-embedding)法がある.前者には酵素抗体法1)が,後者にはイムノゴールド法1,2)が適している.pre-embedding法は,抗原性保持の点では優れているが,抗体の浸透が難しく良好な超微形態を得がたい難点がある.一方,post-embedding法は,超微形態の保存は良好であり,切片上に露出した抗原を検出するため抗体の浸透性を考慮する必要がないが,樹脂包埋中に抗原性が低下するとともに,樹脂面に十分な抗原決定基が露出しているとは限らないなどの難点を有する.
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