病理検査こぼれ話
1枚の標本に自信と責任,そしてたゆまぬ工夫を
黒滝 日出一
1
1弘前大学医学部病理学第1講座
pp.335
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903545
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1997年の春にカナダで外科病理を勉強する機会を持つことができ,レジデントとほぼ同様の生活を体験してきました.そこの病理では検査技師の仕事が細分化され,切り出し,薄切・染色などに分かれており,さらに免疫部門で免疫染色(腎生検なども含む)を,電顕部門では電顕を専門に行う技師が数人ずつおりました.切り出しを行う技師は1日中マクロ所見をテープに吹き込み,マーキングしながら切り出しをしていました.また,薄切担当の技師はブロックから薄切,染色(HEおよび特染)を行い,最後に自分のイニシャルを印刷したラベルを貼ってプレパラートを完成させていました.したがって,標本のラベルを見れば誰が作製したのかすぐにわかり,いい加減な仕事ができない環境になっていると強く感じました.実際,病理医からのクレームが多い技師は,最悪の場合,解雇されることもあるそうです.
カナダの技師は夜遅くまで仕事をしたり,休日に出勤することなどはほとんどありませんが,それぞれの与えられた仕事に対しては強い自信と責任を持っているとつくづく思いました.
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