増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第III章 細胞診
3.細胞学的診断の基礎知識
1)細胞の構造と機能
古田 玲子
1
1(財)癌研究会研究所病理部
pp.213-217
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903505
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細胞の大きさと形 ヒトのからだはたった1個の授精卵が分裂,増生したもので,それぞれ特殊な機能を発揮するように分化した細胞からなる.顕微鏡でその形態を見ると,多くの細胞は直径約10〜30μmであるが,最小は血小板で3μm,最大は卵細胞で約200μmと大きさには幅がある.細胞の形は表1のように多様である.また,刺激に反応して,中皮細胞のように扁平から立方形ないし球形に変化する細胞もある.細胞診標本においては同じ細胞であっても,生体より穿刺して直ちに塗抹した細胞と,自然に剥離した細胞,あるいは剥離後,尿や体腔液などに浮遊していた細胞とでは細胞形態が異なるので,材料の状態を把握したうえでの詳細な観察が要求される.このように種々の形態を示す細胞であるが,共通した基本構造がある.
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