日常染色法ガイダンス 細菌・真菌の日常染色
グラム染色—マッカラム・グッドパスチャー変法
市川 つわ
1
,
町田 大輔
1
,
阿部 美知子
2
,
久米 光
3
,
亀谷 徹
3
1北里大学病院病理部
2北里大学医療衛生学部
3北里大学医学部病理学
pp.1061-1063
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903277
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目的
組織内の病原体を証明する代表的な方法としてグラム染色がある.グラム染色はグラム陽性菌とグラム陰性菌の識別が目的であり,ワイゲルト(Weigert)法,ハッカー・コン(Hucker-Conn)法,マッカラム・グッドパスチャー(MacCallum-Goodpasture)法,ブラウン・ブレン(Brown-Brenn)法,ブラウン・ホップス(Brown-Hopps)法,テイラー(Taylor)法など種々の方法がある.いずれの方法もグラム陽性菌はクリスタル紫(またはゲンチアナ紫)で染色後,ルゴール液で媒染してから分別しており,濃青色に染色されるが,グラム陰性菌はケルンエヒトロート,サフラニン,塩基性フクシンなど種々の赤い染色液で染めている.したがって,それぞれの染色法の相違は,グラム陽性菌の染めかたは同じであるが,グラム陰性菌や組織背景の染めかたの違いによるものであるといえる.
グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁には化学的構成成分に著明な差がみられ,これを利用してクリスタル紫・ヨードの複合体が菌体内に残るか否かでグラム陽性菌,または陰性菌と呼んでいる.グラム陽性菌の細胞壁は脂質含量に乏しくペプチドグリカン層が厚いので,アルコール系の溶剤が作用すると壁は緻密になり,沈着したクリスタル紫・ヨードの複合体は細胞壁内にとどまる.
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