増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
7.組織内病原体の日常染色法
a)一般細菌の染色法
グラム染色(マッカラム・グッドパスチャー変法)
市川 つわ
,
町田 大輔
,
阿部 美知子
,
久米 光
,
亀谷 徹
pp.753-755
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905882
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目的
組織内の病原体を証明する代表的な方法としてグラム染色(Gram stain)がある.グラム染色はグラム陽性菌とグラム陰性菌の識別が目的であり,ワイゲルト法(Weigert method),ハッカー・コン法(Hucker-Conn method),マッカラム・グッドパスチャー法(MacCallum-Goodpasture method),ブラウン・ブレン法(Brown-Brenn method),ブラウン・ホップス法(Brown-Hopps method),テイラー法(Taylor method)など種々の方法がある.いずれの方法もグラム陽性菌はクリスタルバイオレット(またはゲンチアナバイオレット)で染色後,ルゴール液で媒染してから分別しており,濃青色に染色されるが,グラム陰性菌はケルンエヒトロート,サフラニン,塩基性フクシンなど種々の赤い染色液で染めている.したがって,それぞれの染色法の相違は,グラム陽性菌の染めかたは同じであるが,グラム陰性菌や組織背景の染めかたの違いによるものであるといえる.
グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁には化学的構成成分に著明な差が見られ,これを利用してクリスタルバイオレット・ヨードの複合体が菌体内に残るか否かでグラム陽性菌,または陰性菌と呼んでいる.
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