視座
足の裏の米粒
安達 伸生
1
Nobuo ADACHI
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究院整形外科学
pp.317
発行日 2017年4月25日
Published Date 2017/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200786
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「博士の学位とかけて,足の裏の米粒と解く.その心は,取っても食えないが取らないと気持ち悪い.」この謎かけは当初,医療関係の学位取得に関して言われたものらしいが,現在は取得してもあまり役に立たない資格について広く言われる.古い謎かけであるが,大変言い得て妙である.確かに靴や靴下に入った小さな異物は大変気持ち悪く,何とかして取り除きたくなるものだ.奇妙に足を振って靴に入った小石の位置を微妙に変えた経験が誰にでもあるはずである.今日は「足の裏」について考えてみたい.
古代の哲学者アリストテレスは人間の感覚を,視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚に分け,五感と呼んだ.そのうち人間の触覚は大変繊細であり,ある報告によると人の指先は数マイクロメートルの点や数十ナノメートルの凹凸を判断できるらしい.四肢歩行から直立歩行への進化の過程において,多くの機能や役割を担うようになった手,手指に与えられた素晴らしい能力である.一方,足底の感覚に関する研究は非常に少なく,詳細は明らかではない.足の裏は東洋医学では「第二の心臓」,「体の地図帳」とも呼ばれる.足の裏には60〜70個のツボ(経絡)があり,体中の各臓器と経絡により関連付けられており,大変重要視されている.
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