増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
輸血臨床
輸血領域のI & A(Inspection & Accreditation)
長田 広司
1
,
清水 勝
1
1東京女子医科大学輸血部
pp.251-254
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903150
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はじめに
近年,輸血医学は目覚ましい進歩を遂げ,それに伴って,輸血療法の安全性と有効性は著しく向上し,今までに知られていた輸血に伴う副作用・合併症の多くは完全とはいかないまでも,ほぼ制圧に成功したといってよいであろう.しかし,一方では新たな副作用.合併症が知られるようになり,その対策も緊急の課題となっている.このような副作用・合併症が医学的には解決済みとなっても,その恩恵を輸血を必要とするすべての患者が受けるようにならなければ,その価値を十分に評価することはできない.もしそのような現実があるとすれば,すべての医療従事者はその原因を究明して,積極的に打開策を講じる義務と責任とがあるといわなければならない.
つまり,治療用血液である輸血用血液や血漿分画はヒト由来の血液そのものであり,それらの使用に当たっては副作用・合併症(溶血性副作用などの免疫学的機序によるものや,ウイルスや細菌による輸血感染症など)が,ある頻度で起こり得ることは,周知の事実であるということをまず認識するべきである.
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