増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
血液型
抗顆粒球抗体検査
宮本 光子
1
1東京大学医学部附属病院輸血部
pp.147-150
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903122
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はじめに
1960年のアメリカのLalezariらが,新生児の顆粒球減少症を起こした母親の血清中から顆粒球に特異的な抗体であるNA1およびNA2について報告してから,NB1,NC1,ND1,およびNE1など顆粒球に特異的な抗体が順次報告されてきた.1968年にはオランダのvan Roodらが,HLA(human leukocyte antigen)抗原とは独立したシステムを有し,顆粒球,リンパ球,血小板に存在する5a,5bという抗原を,また1982年にはKlineらが顆粒球,リンパ球,単球に存在する抗原Martについて報告した.以来,種々の検査方法が報告されてきているが,HLAタイピングのように国際的な標準法というものはまだ確立されていない.しかし,近年,供血者血液中で産生された顆粒球抗体のよる輸血副作用が問題となってきたこともあり,顆粒球に対する抗原抗体の検索が着目されてきている.
抗顆粒球抗体の血清学的検出法として凝集法,細胞毒試験法,蛍光抗体法,酵素抗体法などいろいろな方法が報告されているが,再現性,操作の簡便性,顆粒球の寿命が他の白血球に比べて極端に短いことなどを考慮したうえで,検出方法を選んで行うことが望ましいと思われる.本稿ではその方法の一端を紹介する.
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